ピリス。
新学期、始まっています。
まだ四月というのに、気候はいきなり夏のよう。
今年大学で私が受け持つ生徒たち、張り切って毎回のレッスンに来てくれて、嬉しい限りです。
大学の他にも、新しい生徒との出会いもあり、気持ち新たに、シャキン!とします。
私は一応先生という立場ですが、生徒から多くのパワーやインスピレーションをもらっているので、毎回感謝。
お互い良い関係性になれるよう、
そして彼らの一年が実り多き一年となるように
最大限の努力をしていきたいと思っています。
さて、題名にもある通り
先日、マリア・ジョアン・ピリスの引退ツアー公演に、行ってまいりました。
私にとって、ピリスはピアノの常識を覆した人です。
なんと名古屋の隣、岐阜のサラマンカホールにいらっしゃるという事で、絶対行く!と思っていたのですが、その日はあいにく私もコンサートがあったため行けず、
アクトシティ浜松の公演へ、学校のレッスンを終えてから大急ぎで行ってきました。
もう、言葉で言い尽くせないくらい、彼女の演奏には魅力が詰まっていて、この音を聴いて、涙が出ない人はいるのかという演奏でした。
彼女の様な人生経験をしたからこそこの音が出るのか。
舞台に出て来た時から既に音楽が始まっているかのよう。
呼吸するように音が出て
風のように物を語って
大袈裟な箇所は一つもなく
全てに芯があるのに軽やかで
私の稚拙な表現では全然伝わりませんが、
ピアノって、こんな音の可能性があるんだと思わせてくれたのがピリスでした。
彼女の生き方、そして今ある姿、彼女が醸し出す雰囲気、全てが憧れ。引き際さえも美しい。
彼女のように素敵に、歳を重ねて行きたいものです。
そして昨日は、卒業していった生徒のランチタイムコンサートでした。未来ある彼女の、真摯に音楽に向き合い、精神的にも成長している姿を見られてとても感激し、
そして、夜には幻の楽器アルペジオーネが使用される!という事で、これを逃す訳にはいかないと、演奏会に出向きました。
文字の通り、シューベルトによりこの楽器のためにだけに書かれた唯一の曲、
たまたま、今勉強しているのがアルペジオーネソナタということもありますが、
今回の選曲は、出演者であり研究者としても名高いコワン氏らが、図書館に眠っていたものを発掘された選りすぐりの曲という事で、大変興味深いものでした。
何故こんな名曲揃いなのに、陽の目を見る事なく埋もれてしまったのかという曲ばかり。
そして何と言っても、ピアノフォルテの金子さんが素晴らしくて、感激しました。
アルペジオーネ、普段は今のチェロ、所謂モダン楽器で弾くしか手段がありませんが、
なるほど、やはりこれはこの楽器の為に書かれたものなんだなぁと再び実感。
あぁ、良い音楽に囲まれて幸せです。
私の演奏も、足を運んで下さる皆様にとって心地よいものになる様、もっともっと努力しなければ。
・・・5、6、7月、毎月コンサートがあります。
全て編成の違うものです。
またここでお知らせ致します。